「玉村なので、相続税は高崎税務署ですよね。母のときは何もしなかったんですが、今回の父の相続は申告がいるんでしょうか」
2つとも、よくある思い違いです。玉村町は高崎に近い町ですが、税務署は伊勢崎です。そして、お母さまのときに申告が要らなかった家でも、お父さまのときには要る、ということが玉村では普通に起きます。
この記事では、玉村町の申告先、2026年の地価、相続税の評価の仕組み、一次相続と二次相続で結論が変わる試算まで、玉村町で相続が起きたときに最初に押さえておきたいことを書きます。
目次
玉村町の申告先は、高崎ではなく伊勢崎税務署
相続税の申告書は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署に出します。佐波郡玉村町は伊勢崎税務署の管轄です。
・伊勢崎税務署:伊勢崎市鹿島町562-1
・管轄:伊勢崎市、佐波郡玉村町
玉村町は高崎市と前橋市に接していて、買い物も通勤も高崎方面という方が多い町です。それでも税務署は伊勢崎です。相続人が高崎に住んでいても、亡くなった方の住所が玉村町なら伊勢崎税務署に出します。
当事務所にご依頼いただく場合は電子申告で提出しますので、伊勢崎まで行っていただく必要はありません。申告先がどこであっても、手続きの上で変わることはありません。なお、亡くなった方が玉村町から高崎市内の老人ホームに移っていた場合は、住民票を移していれば高崎税務署になります。住所の履歴は最初に確認します。
玉村町の地価は横ばい。町内の差も小さい
2026年の公示地価で、玉村町の平均は1平方メートルあたり3万4,900円、前年比は横ばいでした。
・住宅地の平均:3万3,733円(横ばい)
・商業地の平均:3万8,400円(横ばい)
・最高地点:下新田字布留坡226番2の4万2,900円
・最低地点:樋越字森下1581番15の3万2,000円
玉村町の地価には、2つの特徴があります。
一つは、下げ幅が小さいことです。ピークは1992年の9万400円で、2026年はその2.59分の1。富岡の4.11分の1、安中の3.23分の1と比べると、玉村は地価を保っています。高崎と前橋の間という立地と、高崎玉村スマートインターの開通で、住宅と物流の需要が続いているためです。
もう一つは、町内の差が小さいことです。最高地点と最低地点の差は1.34倍しかありません。富岡の8倍、安中の8.5倍とは別世界です。玉村は平らな町で、山も谷もなく、どこに住んでいても土地の評価が同じくらい、ということです。
相続税の評価という点では、この2つは「土地の評価が意外と下がらない町」という一つの結論になります。
路線価地域と倍率地域、市街化区域の畑
相続税の土地の評価は、路線価方式と倍率方式に分かれます。玉村町は、役場周辺や国道354号沿い、上新田・下新田の住宅地には路線価が付いています。五料や樋越、上福島の集落は倍率地域で、固定資産税評価額に国税庁の倍率を掛けます。どちらに入るかは字単位ですので、課税明細書と財産評価基準書で確認します。
玉村町は市街化区域と市街化調整区域の線引きがある町です。市街化区域の中にある畑は、畑のままでも宅地並みの評価になります。住宅地の路線価を1平方メートルあたり2万7,000円とすると、造成費を引いて2万6,000円。500平方メートルで1,300万円です。調整区域の畑なら中間農地として数十万円から百数十万円ですので、同じ1反で10倍変わります。
玉村は、もともと農家だった家が、高崎や前橋に勤めながら畑を残している形が多い町です。その畑が市街化区域にあるかどうかで、相続税の結論が決まります。役場で都市計画図を見るか、玉村町のウェブサイトの地図で確認できます。
試算:一次相続ではかからず、二次相続でかかる
玉村町の住宅地にある60坪の自宅と、調整区域の畑を持つ家で試算します。路線価は住宅地の公示地価3万3,733円の8割で、1平方メートルあたり2万7,000円と置きます。60坪は198.35平方メートルで、土地の評価は約536万円です。
・自宅の土地(60坪):536万円
・建物:500万円
・預金:3,000万円
・生命保険(非課税枠を超えた分):300万円
・畑(調整区域、中間農地):200万円
・合計:4,536万円
最初にお父さまが亡くなり、相続人が配偶者と子2人の場合。基礎控除は3,000万円に3人分1,800万円を足して4,800万円です。合計4,536万円は下回り、申告は不要です。
次にお母さまが亡くなり、相続人が子2人になった場合。基礎控除は4,200万円に下がります。財産が同じ4,536万円なら336万円超え、相続税は2人合わせて約34万円です。一次相続で全財産をお母さまが相続していれば、こうなります。
冒頭の「母のときは何もしなかった」は、たいていこの一次相続です。間違いではありません。ただ、二次相続は別の計算になる、というだけです。玉村のように土地の評価が下がらない町では、一次と二次の間に財産が減らず、この形になりやすいです。基礎控除の考え方は相続税はいくらからかかるかに書いています。
二次相続で効く特例と、効かない特例
二次相続で頼りになるのが、小規模宅地等の特例です。同居の子がいて自宅を相続すれば、土地の評価が80%減になります。536万円が約107万円になり、合計は4,107万円。基礎控除4,200万円を下回り、税額はゼロです。ただし、申告をして初めて使えますので、申告自体は必要です。
効かないのは、配偶者の税額軽減です。一次相続では配偶者が1億6,000万円まで無税で相続できますが、二次相続には配偶者がいません。一次相続で「全部母に」としておくと、二次相続で特例が何もない状態になります。さらに、同居の子がおらず自宅が空き家になっていれば、小規模宅地等の特例も使えず、試算の34万円がそのまま残ります。
そのため、一次相続の時点で、二次相続まで見て分け方を決めるのが定石です。お母さまが長く暮らすための預金は残しつつ、自宅は同居の子に、畑は農業を続ける子に、という分け方をしておけば、二次相続の財産が減ります。一次相続で申告が不要な場合でも、この分け方の検討だけはお勧めしています。特例の要件は小規模宅地等の特例の記事に書いています。
高崎の事務所から玉村へ
当事務所は高崎市江木町です。玉村町役場まで車で20分かかりません。申告先は伊勢崎税務署ですが、相談先は高崎、という組み合わせで何の問題もありません。
最初の面談でお持ちいただきたいのは、固定資産税の課税明細書、亡くなった方の預金通帳すべて、生命保険の証券、そして一次相続のときの遺産分割協議書があればそれもです。二次相続では、一次相続で誰が何を相続したかが出発点になります。
申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。ご自身で進められるかの目安はこちらに書きました。畑の現地確認が必要なときは、こちらから伺います。
玉村町の相続税のご相談
たかさき相続税・贈与税相談プラザでは、玉村町の方の相続税申告を承っています。一次相続で申告が不要だった方も、二次相続では結論が変わることがあります。申告が必要かどうかの判定だけでも、一度ご相談ください。
たかさき相続税・贈与税相談プラザ
TEL 027-335-9606(平日9:00〜17:30)
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公認会計士・税理士 長島祐太
















