「父が伊勢崎で畑を1反やっていました。私は会社員で、農業はできません。この畑、どうすればいいんでしょう」
伊勢崎市の相続で、自宅より重いのが市街化区域の畑です。固定資産税の通知では数千円の土地が、相続税では2,000万円を超えます。そして相続した後、続けるのか、売るのか、貸すのか、持ち続けるのかで、税金の額も、その後の負担も変わります。
この記事では、伊勢崎の市街化区域の畑がどう評価されるか、面積が大きい場合の減額、そして相続後の4つの選択肢それぞれの税金を書きます。
目次
市街化区域の畑は、宅地の値段で評価される
相続税では、市街化区域の中にある農地を「市街地農地」として評価します。計算は、その土地が宅地だったとした場合の価格から、宅地にするための造成費を引く方法です。畑のままでも、評価は宅地並みです。
伊勢崎市の住宅地の公示地価は1平方メートルあたり3万3,043円、路線価はその8割で2万6,000円前後です。造成費を1,000円と置くと、畑は1平方メートルあたり2万5,000円。1反、1,000平方メートルで2,500万円です。
固定資産税では、同じ畑が農地として課税されていますので、年に数千円です。この差が、相続のときに初めて表に出ます。「畑だから安い」と思っていた土地が、相続税の計算では自宅の何倍にもなる。伊勢崎の相続で最も多い驚きです。
一方、市街化調整区域の畑は、純農地や中間農地として倍率方式で評価します。同じ1反でも数十万円から百数十万円で、桁が違います。畑がどちらの区域にあるかは、伊勢崎市の都市計画図で確認できます。
1反以上なら「地積規模の大きな宅地」で2割引き
市街地農地には、面積が大きい場合の減額があります。「地積規模の大きな宅地の評価」という制度で、三大都市圏以外では1,000平方メートル以上の土地が対象です。伊勢崎はこれに当たります。
広い土地は、そのままでは売れず、道路を入れて分譲する必要があるため、1平方メートルあたりの価値が下がる、という考え方です。1,000平方メートルの場合、補正率は0.8。2,500万円の畑が2,000万円になります。
要件は、面積のほかに、用途地域が工業専用地域でないこと、容積率が400%未満であることなどです。伊勢崎の住宅地や準工業地域の畑なら、たいてい当てはまります。1反に少し足りない畑は対象外ですので、登記簿の面積と実測の面積のどちらで判断するかも含めて確認します。
相続人が子2人なら基礎控除は4,200万円です。この畑2,000万円に自宅と預金を足せば、伊勢崎では多くの家が基礎控除を超えます。以下、この2,000万円の畑を前提に、相続後の4つの選択肢を比べます。
選択肢1:農業を続ける。納税猶予は20年
相続人が農業を続けるなら、農地の納税猶予が使えます。畑を農業投資価格という低い価格で評価し直し、2,000万円との差額にかかる相続税の納税を猶予する制度です。群馬の畑の農業投資価格は、1反で数十万円です。猶予される税額は大きくなります。
伊勢崎市は三大都市圏の特定市ではありませんので、市街化区域の畑でも納税猶予の対象になります。そして、特定市以外の市街化区域農地は、相続人が20年間農業を続ければ猶予された税額が免除されます。終身ではなく20年です。
要件は、申告期限までに遺産分割を終えて相続人が農業を始めること、農業委員会の証明を取ること、担保を提供することです。途中でやめたり売ったりすれば、猶予された税額に利子税を付けて納めます。冒頭の「会社員で農業はできない」という方には使えません。兼業で続けられるか、親族に耕作を頼めるかが分かれ目です。
選択肢2:売る。伊勢崎は買い手が付きやすい
農業を続けないなら、売る選択です。伊勢崎の市街化区域は、地価が下がっていない数少ない地域で、住宅用地や事業用地の需要があります。富岡や安中の実家と違い、売り出せば買い手が付く可能性が高い。これは伊勢崎の強みです。
売ったときの税金は譲渡所得です。相続税とは別の税金で、売った翌年の確定申告で納めます。2,000万円で売り、取得費が分からず5%の100万円、譲渡費用100万円とすると、譲渡益は1,800万円。長期譲渡の税率20.315%で約366万円です。
ここで効くのが、相続税の取得費加算です。相続税を納めた方が、申告期限から3年以内に売ると、納めた相続税のうち畑の分を取得費に足せます。伊勢崎のように畑が財産の中心だと、相続税の大半が畑に対応しますので、取得費加算の効果は大きくなります。相続税を150万円納め、そのうち畑の分が100万円なら、譲渡益が100万円減って税金が約20万円下がります。
市街化区域の農地を売るには、農地法の届出が必要ですが、調整区域の農地のような許可は要りません。農業委員会に届け出れば、宅地として売れます。取得費加算の詳しい仕組みはこちらに書いています。
選択肢3:アパートや駐車場にする
売らずに収益を得る選択です。アパートを建てて貸せば、土地は貸家建付地として評価が下がります。伊勢崎の借地権割合を50%、借家権割合30%とすると、評価は15%減。2,000万円の畑が1,700万円になります。建物も、建築費より低い固定資産税評価額で評価され、さらに貸家として30%減です。
ただし、これは次の相続の話です。今回の相続では、相続開始の時点で畑のままなら畑として評価します。相続後にアパートを建てても、今回の相続税は変わりません。
そして、アパートは借入と空室のリスクを伴います。伊勢崎は人口が保たれている市ですが、場所によっては空室が続きます。相続税の評価を下げるためだけに建てると、本末転倒になります。駐車場は評価が下がりませんが、借入なしで始められ、売りたくなったときにすぐ売れる、という利点があります。
選択肢4:持ち続ける。固定資産税と次の相続
何もせず畑のまま持つ選択です。耕作を続けている限り、固定資産税は農地として安いままです。ただし、耕作をやめて荒れると、農地課税から外れて税額が上がることがあります。草刈りだけでも続ける必要があります。近所の農家に耕作を頼む、市の農地バンクを通して貸す、という形で畑の状態を保つ方もいます。
もう一つは、次の相続です。今回2,000万円で評価された畑は、次の相続でも同じ水準で評価されます。今回は配偶者がいて基礎控除に収まった家が、次の相続では子だけになり、基礎控除が減って税額が出る、というのが典型です。
4つの選択肢に、唯一の正解はありません。農業を続ける人がいるか、現金が必要か、次の相続まで何年あるか、で変わります。相続税の申告のときに、この畑の評価額と、それぞれの選択肢の税額を一度並べておくと、家族で決めやすくなります。伊勢崎市の相続税の全体像は相続税はいくらからかかるかから読んでいただくと分かりやすいです。
伊勢崎の畑、続ける・売る・貸すを数字で決めたい方へ
たかさき相続税・贈与税相談プラザでは、伊勢崎市の市街化区域の畑を含む相続税申告と、その後の売却や活用の税金まで承っています。畑の評価額を出すだけでも、選択肢が見えます。相続の前でも後でも、ご相談ください。
たかさき相続税・贈与税相談プラザ
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公認会計士・税理士 長島祐太
















