「伊勢崎の実家に、父が畑を少し持っています。自宅と畑と預金で、相続税はかかるでしょうか」
伊勢崎市の方からのご相談で、鍵になるのはたいてい畑です。伊勢崎は市街地の中に畑が残っている市で、その畑がどこにあるかで、相続税の評価が10倍変わります。自宅の土地より、畑のほうが高く評価されることも珍しくありません。
この記事では、伊勢崎市の2026年の地価、路線価地域と倍率地域の分かれ方、自宅と畑を合わせた試算、申告先の伊勢崎税務署まで、伊勢崎市で相続が起きたときに最初に押さえておきたいことを書きます。
目次
伊勢崎市の地価は、県内で珍しく下がっていない
2026年の公示地価で、伊勢崎市の平均は1平方メートルあたり3万4,797円、前年比プラス0.16%でした。富岡や安中、藤岡が下落を続けるなかで、伊勢崎は横ばいから上昇に転じています。
・住宅地の平均:3万3,043円(前年比プラス0.02%)
・商業地の平均:4万1,966円(前年比マイナス0.15%)
・工業地の平均:2万2,700円(前年比プラス3.18%)
工業地の上昇が目立ちます。北関東自動車道のインターに近く、工場や物流倉庫の需要があるためです。相続税の評価という点では、地価が下がらない市は、評価額も下がらない市です。親御さんの代の「土地はもう安い」という感覚が、伊勢崎では当てはまらないことがあります。
ピークは1992年の10万5,490円で、2026年はその3.03分の1です。富岡の4.11分の1、安中の3.23分の1に比べると下げ幅は小さく、群馬の中では地価を保っている市と言えます。
宮子町5万8,300円から境小此木1万3,600円まで
市内の最高地点は宮子町3424番1の5万8,300円、最低地点は境小此木字南塚越536番2の1万3,600円です。4.3倍の差があります。
駅ごとに見ると、駒形駅周辺が4万3,675円で最も高く、伊勢崎駅4万1,775円、新伊勢崎駅3万9,041円と続きます。国定駅2万9,300円、剛志駅2万8,450円、境町駅2万7,300円は、市街地の7割程度です。
町名で見ると、宮子町5万8,300円、茂呂町4万7,600円、連取町4万3,800円が上位です。前橋寄りの北部と、国道17号・354号沿いの商業地が高く、旧境町や旧赤堀町の集落は低い。伊勢崎の地価は、地図で言えば北西が高く、南東に行くほど下がります。
路線価地域と倍率地域。旧伊勢崎市と旧3町村で分かれる
相続税の土地の評価は、路線価方式と倍率方式に分かれます。伊勢崎市は、2005年に旧伊勢崎市・赤堀町・東村・境町が合併してできた市で、この旧市町村の境が、おおむね路線価地域と倍率地域の境になっています。
旧伊勢崎市の市街地には路線価が付いています。道路ごとに1平方メートルあたりの価格が決まっていて、面積を掛けて評価します。一方、旧赤堀町・旧東村・旧境町の集落の多くは倍率地域で、固定資産税評価額に国税庁の倍率を掛けます。
ただし、境町駅周辺や国道354号沿いなど、旧町村でも路線価が付いている場所があります。どちらに入るかは字単位で決まりますので、固定資産税の課税明細書と国税庁の財産評価基準書を突き合わせて確認します。
伊勢崎で注意が必要なのは、市街化区域の中にある畑です。市街化区域内の農地は、畑のままでも宅地並みの評価になります。固定資産税では農地として安く課税されていても、相続税では宅地の価格から造成費を引いた額で評価します。ここが、冒頭の「畑が税額を決める」という話につながります。
試算:自宅60坪と、市街化区域の畑500平方メートル
伊勢崎市内の住宅地にある60坪の自宅と、同じ市街化区域内にある500平方メートルの畑で試算します。相続人は子2人、同居の子が自宅を相続するとします。
路線価は公示地価のおおむね8割です。住宅地の平均3万3,043円の8割は2万6,400円ですから、1平方メートルあたり2万6,000円と置きます。60坪は198.35平方メートルで、自宅の土地は約516万円です。畑は、宅地の価格2万6,000円から造成費を1,000円引いて2万5,000円、500平方メートルで1,250万円です。
・自宅の土地(60坪):516万円
・市街化区域の畑(500平方メートル):1,250万円
・建物:400万円
・預金:2,800万円
・生命保険(非課税枠を超えた分):500万円
・合計:5,466万円
畑が自宅の2.4倍です。基礎控除は子2人で4,200万円。合計5,466万円はこれを1,266万円超え、相続税は2人合わせて約127万円です。
同居の子が自宅を相続すれば、小規模宅地等の特例で自宅の土地が80%減になり、516万円が約103万円になります。合計は5,053万円に下がりますが、まだ853万円超えています。税額は約85万円。特例を使っても、ゼロにはなりません。
自宅ではなく畑が主役なので、自宅の特例では消しきれないのです。畑を農業用の小規模宅地として減額するには、相続人が農業を続けるなどの別の要件があります。畑を売る、宅地にする、農業を続けて納税猶予を受ける。どれを選ぶかで税額が変わりますので、相続の前に家族で方針を決めておくことをお勧めしています。特例の要件は小規模宅地等の特例の記事に書いています。
申告先は伊勢崎税務署(伊勢崎市・玉村町)
相続税の申告書は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署に出します。伊勢崎市にお住まいだった方なら、伊勢崎税務署です。
・伊勢崎税務署:伊勢崎市鹿島町562-1
・管轄:伊勢崎市、佐波郡玉村町
旧境町・旧赤堀町・旧東村も、合併後は伊勢崎税務署です。相続人が高崎や前橋に住んでいても、申告先は変わりません。期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
当事務所にご依頼いただく場合、申告書は電子申告で伊勢崎税務署に出します。高崎の事務所から伊勢崎市役所までは車で30分ほどです。畑の現地確認が必要なときは、こちらから伺います。
伊勢崎で相続税がかかる家の特徴
試算の通り、伊勢崎では土地が相続税の主役になり得ます。富岡や安中のように「土地は安い、預金が全て」とは言えない市です。
・旧伊勢崎市の市街化区域に畑や空き地を持っている家
・国道17号・354号沿いで店舗や工場を営んでいた家
・貸家やアパートを持っている家(貸家建付地として評価は下がるが、額は大きい)
・自宅は普通でも、預金と保険で3,000万円を超える家
最初の面談でお持ちいただきたいのは、固定資産税の課税明細書、亡くなった方の預金通帳すべて、生命保険の証券です。伊勢崎の方は、課税明細書に「畑」「田」と書かれた土地があるかどうかを、まず見ます。市街化区域内なら、その時点で税額の見当がつきます。ご自身で申告できるかの目安はこちらに、基礎控除の考え方は相続税はいくらからかかるかに書いています。
伊勢崎市の相続税のご相談
たかさき相続税・贈与税相談プラザでは、伊勢崎市・玉村町の方の相続税申告を承っています。市街化区域に畑のある方は、評価額を一度出しておくと、相続の前に打てる手が見えます。申告が必要かどうかの判定だけでもご相談ください。
たかさき相続税・贈与税相談プラザ
TEL 027-335-9606(平日9:00〜17:30)
群馬県高崎市江木町610-10 ミノラスビル2階
公認会計士・税理士 長島祐太
















