「安中の実家は、父が亡くなってから空き家です。私は高崎に家があるので戻りません。売ろうと思うんですが、税金ってどれくらいかかるんですか」
安中市の実家を相続した方のご相談で、最も多いのがこれです。相続税の話ではなく、売ったときの所得税の話です。結論から言うと、要件を満たせば税金はゼロにできます。満たさなければ、1,000万円で売って146万円ほどかかります。
この記事では、安中の実家を売ったときの税金の計算、ゼロにする特例の要件、もう一つの特例との選び方、解体の時期で変わる固定資産税、そして相続から売却までの段取りを書きます。
目次
試算:安中の実家を1,000万円で売ったら
安中市内の住宅地にある実家、土地60坪と築45年の木造の家を、古家を解体して更地にし、1,000万円で売ったとします。
売ったときの税金は、譲渡益に対してかかります。譲渡益は、売却額から取得費と譲渡費用を引いた額です。
・売却額:1,000万円
・取得費:50万円(親が買った値段が分からない場合、売却額の5%)
・譲渡費用:約230万円(仲介手数料39万6,000円、解体費150万円、測量費40万円)
・譲渡益:約720万円
相続した土地は、親が持っていた期間を引き継ぎますので、ほぼ確実に長期譲渡です。税率は所得税と住民税を合わせて20.315%。720万円に掛けると、約146万円です。手取りは1,000万円から費用230万円と税金146万円を引いた、約624万円になります。
取得費が5%になるのは、親御さんが買ったときの契約書が見つからないからです。昭和の時代に建てた家は、契約書が残っていないことが多く、安中の実家の多くがこの計算になります。土地を買った当時の値段が分かれば取得費はもっと大きくなりますので、権利証と一緒に契約書がないか、最初に探していただきます。
空き家の3,000万円控除で、146万円がゼロになる
この146万円をゼロにするのが、相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除です。譲渡益720万円から3,000万円を引けますので、税金はかかりません。
主な要件は次の通りです。
・1981年5月31日以前に建てられた家であること
・亡くなった方が一人で住んでいたこと(老人ホームに入っていた場合も一定の要件で可)
・相続してから売るまで、貸したり誰かが住んだりしていないこと
・相続開始から3年目の年の12月31日までに売ること
・売却額が1億円以下であること
・家を取り壊して売るか、耐震改修して売ること(売った翌年2月15日までに買主が取り壊す形でも可)
安中の築40年以上の実家は、たいてい1981年より前の建物です。更地にして売れば、残りの要件も満たしやすい。安中の実家は、この特例の典型的な対象です。
特例を使うには、安中市役所で「被相続人居住用家屋等確認書」を取り、翌年の確定申告に添付します。申告しなければ特例は使えません。「税金がゼロだから申告しなくていい」ではなく、「申告するからゼロになる」です。
取得費加算との選び方。安中では空き家特例が勝つ
相続した不動産を売ったときに使える特例は、もう一つあります。相続税の取得費加算です。相続税を納めた方が、相続から3年10か月以内に売ると、納めた相続税のうち売った土地の分を取得費に足せます。
この2つは、同じ物件で両方は使えません。どちらかを選びます。
安中の実家の場合、答えはほぼ決まっています。空き家特例です。理由は、安中では相続税が小さいからです。安中の自宅60坪は相続税の評価で400万円に届かず、相続税がかかっても数十万円。その中の土地の割合分しか取得費に足せませんので、取得費加算の効果は数万円です。3,000万円の控除とは比べものになりません。
取得費加算が勝つのは、相続税を数百万円以上納めていて、かつ空き家特例の要件に外れる場合です。1981年以降に建てた家、相続後に貸していた家、親と同居していた家などです。安中でも、磯部や安中駅周辺で商売をされていたご家庭は、この判断が必要になることがあります。取得費加算の仕組みはこちらに書いています。
解体は1月2日以降に。固定資産税が6倍になる落とし穴
更地にして売る場合、解体の時期で固定資産税が変わります。ここは実務で損をしやすいところです。
固定資産税は、毎年1月1日時点の状態で1年分が決まります。家が建っている土地は住宅用地の特例で税額が最大6分の1になっていますが、1月1日に更地だと、その年は特例が外れます。
土地の固定資産税評価額が500万円なら、家付きのときの税額は年およそ1万2,000円。更地だと年7万円です。12月に解体して1月1日を更地で迎えると、売れるまでの間、6倍の固定資産税を払い続けます。
安中で、更地にしてから買い手が付くまで1年かかることは珍しくありません。解体するなら1月2日以降、できれば買い手が決まってからです。買主が解体する形でも空き家特例は使えますので、更地にしてから売り出す必要は必ずしもありません。
相続から売却までの段取り
順番を間違えると時間と費用が増えます。安中の実家を売る場合の標準的な流れです。
1. 相続税の申告(10か月以内、申告先は高崎税務署)。申告が不要でも、財産の確認はこの時点で済ませる
2. 相続登記(売主の名義にする。義務化されており、売却には必須)
3. 境界の確認と測量(古い土地は隣地との境界が曖昧なことが多い)
4. 不動産会社に査定を依頼し、媒介契約。安中の相場に詳しい会社を複数当たる
5. 売買契約、引き渡し。解体するなら引き渡し前、時期は1月2日以降
6. 安中市役所で被相続人居住用家屋等確認書を取得
7. 売った翌年の2月16日から3月15日に確定申告
空き家特例の期限は、相続開始から3年目の年末です。2026年に亡くなった場合、2029年12月31日までに売る必要があります。長いようですが、相続税の申告に10か月、登記と測量に数か月、売り出してから成約まで1年と見ると、余裕はありません。
安中の実家は、売れるまでに時間がかかる
安中市の住宅地の公示地価は1平方メートルあたり2万3,850円で、下落が続いています。買い手は高崎や前橋から探すことになり、価格より「売れるかどうか」が問題になる地域です。安中駅や磯部駅に近い平らな土地は動きますが、松井田町や秋間の坂の上の家は、値段を下げても買い手が付かないことがあります。
だからこそ、相続税の申告が終わった時点で、売る方針なら動き始めていただきたいです。空き家のまま3年置いて、特例の期限が切れてから売ると、146万円の税金がそのまま乗ります。
当事務所では、相続税の申告と、売却後の確定申告を同じ流れで見ています。相続のときに土地の評価で把握した情報が、譲渡所得の計算にそのまま使えます。安中の実家をどうするか迷っている段階でも、一度数字を出しておくと判断が楽になります。ご自身で進められるかの目安はこちらに書きました。
安中の実家、売るか持つかを数字で決めたい方へ
たかさき相続税・贈与税相談プラザでは、安中市の実家について、相続税の申告から売却後の確定申告まで一貫して承っています。空き家特例の期限は相続から3年目の年末です。実家を空けたままの方は、早めにご相談ください。
たかさき相続税・贈与税相談プラザ
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公認会計士・税理士 長島祐太
















