「うちは高崎の普通の家です。相続税なんて、関係ないですよね」
先週の相談で、こう聞かれました。私は「土地の路線価を見てから答えます」と返しました。高崎で相続税がかかるかどうかは、家の見た目では分かりません。決めるのは、家の下の土地に付いている路線価です。
私は高崎市江木町で相続税の申告を受けている公認会計士・税理士の長島祐太です。この記事では、高崎市で相続税申告が必要になる家の目安、同じ60坪でも場所で10倍変わる評価額、そして申告書のどこで差がつくかを書きます。
この記事の内容
高崎は群馬で一番、相続税がかかりやすい町
令和8年分の路線価で、群馬県内の最高地点は高崎市八島町の47万円/㎡です。36年連続で県内1位、しかも6年ぶりに上昇しました。前橋市の最高地点は本町2丁目の14.5万円ですから、高崎駅前は県都の3倍以上の値段が付いています。
建物は古ければ評価が下がります。固定資産税評価額がそのまま相続税の評価になるので、築40年の木造なら数百万円で収まります。ところが土地は、家が古くても下がりません。高崎の相続で金額を決めるのは、ほぼ土地です。
駅前だけの話ではありません。高崎市内の住宅地は、公示地価で1㎡5万円台後半の地点が多く、路線価はその8割前後で4万〜5万円が目安です。群馬の他の市と比べると、同じ広さの土地で評価額が一段高くなります。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人が子2人なら4,200万円。土地が高い分、預金と建物と生命保険を足したときに、この線を越える家が高崎には多いのです。
60坪の家の土地は892万円、駅前なら9,322万円
具体的に計算します。60坪は198.35㎡です。路線価4.5万円の住宅地なら、土地の評価額は次のとおりです。
198.35㎡ × 4.5万円 = 約892万円
同じ60坪が八島町の47万円なら、9,322万円。同じ市内、同じ広さで10.4倍の差です。相続税の申告が要るかどうかを「高崎だから」で判断できない理由がこれです。町名と路線価図の数字を見るまで、答えは出ません。
もう一つ、大きく動く数字があります。小規模宅地等の特例です。亡くなった方が住んでいた土地を配偶者や同居の子が相続すると、330㎡まで評価額を80%減らせます。892万円の土地は178万円まで下がります。
この特例は、申告書を出して初めて使えます。特例を使った結果、税額がゼロになる場合でも、申告は必要です。「計算したらゼロだったから出さなかった」は、特例を使わずに計算した金額で課税される事態を招きます。高崎で私が見る申告漏れの多くは、このパターンです。詳しくは小規模宅地等の特例の記事に書いています。
駅から徒歩15分の実家で、土地だけで3,306万円
実際にあった話です。高崎駅から歩いて15分ほどの実家を、子2人で相続した方が来られました。ご本人は「古い家だから」と、申告の必要はないと思っていました。
土地は50坪、165.29㎡。路線価図を開くと、前面道路には20万円台の数字が付いていました。20万円で計算しても3,306万円です。家が古いかどうかは、土地の評価には一切関係がありません。建物はゼロに近くても、土地は路線価どおりに評価されます。
この方の基礎控除は4,200万円。土地3,306万円に預金と生命保険を足すと、控除を越えました。ただし、お子さんの一方が同居していたので、小規模宅地等の特例が使えました。土地の評価は661万円まで下がり、税額はゼロ。申告書を出す必要はありましたが、納税はありませんでした。
「申告は要るが、税金はゼロ」。高崎の住宅地の相続では、この着地がいちばん多いのです。逆に言うと、申告を出さないと、ゼロで済むものが済まなくなります。
高崎の申告は誰がやっているのか
全国の数字を押さえておきます。令和6年分に亡くなった方は1,605,378人、そのうち相続税の課税対象になったのは166,730人で、課税割合は10.4%です。亡くなった方の10人に1人の家で申告が要る計算になります。
その申告の86.3%は税理士が関与しています。ところが税理士は全国に82,310人います。割り算をすると、税理士1人あたりの相続税申告は年に1.75件です。相続税の申告を年に1件も扱わない税理士は珍しくありません。
高崎にも税理士事務所は多くあります。ただ、その多くは法人の顧問を主業にしています。会社の決算を20年任せている税理士が、相続税の申告は年に1件という状態は、ごく普通に起きています。申告書に税理士の署名があることと、土地の評価に手が入っていることは、別の話です。
もう一つの数字。税理士が申告書の作成過程を書面にして添付する「書面添付」の割合は、相続税で23.4%です。4件のうち3件は、書面添付なしで出されています。
見分け方は簡単です。「相続税の申告は年に何件くらい扱っていますか」と聞くだけでいい。数字で答えが返ってこなければ、土地の評価も数字で詰めてもらえない可能性が高い。高崎の申告で差がつくのは、次に書く3点です。
高崎税務署への申告書で差がつく3点
高崎市の相続税申告は、亡くなった方の住所を管轄する高崎税務署に出します。期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月です。申告書の中で、税理士によって金額が動く箇所は決まっています。
1. 土地の形と道路の関係
高崎の住宅地は路線価地域なので、路線価に土地の形の補正をかけて評価します。奥行が長い、間口が狭い、道路より1m以上高い、擁壁がある。こうした事情は補正率で評価額を下げられます。補正を一つも入れずに「路線価×面積」だけで出された申告書は、高崎でも珍しくありません。
2. 小規模宅地等の特例の適用要件
同居していたか、別居でも持ち家がない子か、配偶者か。誰が相続するかで、80%減が使えるかどうかが決まります。遺産分割の前に、この要件を見て「誰が家を取るか」を決めるのが順番です。分けてから気づいても、戻せません。
3. 名義預金と生前贈与
子や孫の名義で親が積んでいた預金、亡くなる前の贈与。ここは税務署が最初に見る箇所です。土地の評価を丁寧に下げても、名義預金の申告漏れで加算税が付けば、元も子もありません。高崎税務署の調査で指摘される財産の中心は、土地ではなく預金です。
路線価を見てから判断してください
「高崎の普通の家」は、群馬の他の市の普通の家より土地が高い。だから申告が要る家が多い。だから小規模宅地等の特例で税額ゼロにする申告書を出す家が多い。高崎の相続税申告の実情は、この一文に尽きます。
申告が要るかどうかを自分で当たりを付ける方法は相続税はいくらからかかるかの記事に、税理士をどう選ぶかは相続税に強い税理士の見分け方の記事に書きました。
路線価図は国税庁のサイトで町名から引けます。前面道路の数字に面積を掛けるだけで、土地の概算は出ます。その数字に預金と保険を足して4,200万円に近いなら、申告を前提に動いてください。分からなければ、路線価図の画面を持ってきていただければ、その場で概算を出します。
高崎の家が申告に該当するか、路線価図から概算します
土地の路線価と面積、預金のおおよその額が分かれば、申告が要るか、税額がゼロで済むかの当たりをその場で付けます。高崎税務署管内の申告を、公認会計士・税理士 長島祐太が担当します。
たかさき相続税・贈与税相談プラザ(ミノラス会計事務所内)
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