「夫が52歳で亡くなりました。吉岡に家を建てて8年、ローンがまだ2,000万円残っています。子どもは高校生と大学生です。相続税なんて考えたこともなかったんですが、保険金が入ってきて不安になりました」
吉岡町は、群馬で数少ない人口が増え続けている町です。前橋や高崎に通う若い世帯が家を建て、新しい住宅地が広がっています。そのぶん、吉岡の相続のご相談には、ほかの地域にはない特徴があります。亡くなった方が働き盛りで、住宅ローンが残っていて、生命保険と退職金が大きく、相続人に未成年がいる、という形です。
この記事では、吉岡町の申告先と地価に加えて、この「働き盛りの相続」で何が起きるかを、試算付きで書きます。
吉岡町の申告先は高崎税務署
相続税の申告書は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署に出します。北群馬郡吉岡町は高崎税務署の管轄です。前橋に隣接していて生活圏は前橋寄りですが、税務署は前橋ではなく高崎です。
・高崎税務署:高崎市高松町26-5(高崎地方合同庁舎)
・管轄:高崎市、渋川市、安中市、北群馬郡(榛東村・吉岡町)
期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。当事務所にご依頼いただく場合は電子申告で出しますので、税務署に行く必要はありません。なお、亡くなった方の勤務先が前橋や東京であっても、申告先は住所で決まります。会社の所在地は関係ありません。
吉岡町の地価は県内上位。新しい住宅地ほど高い
2026年の公示地価で、吉岡町の平均は1平方メートルあたり3万3,275円、前年比プラス0.28%でした。最高地点は大久保字善徳の5万4,700円、最低地点は上野田字小井出の2万3,600円です。坪単価で見ると群馬県内の市町村で5位に入り、町としては異例の高さです。
吉岡町は市街化区域と調整区域の線引きがない「非線引き」の町で、駒寄スマートインター周辺や県道沿いに住宅地が広がりました。評価の仕組みは、国道17号沿いや大久保・下野田の住宅地には路線価が付き、山側の集落は倍率地域です。どちらに入るかは字単位で、課税明細書と国税庁の財産評価基準書で確認します。
自宅60坪の相続税評価は、住宅地の路線価を公示地価の8割の2万7,000円とすると約536万円、最高地点付近の4万4,000円なら約873万円です。富岡や安中の倍近い水準ですが、それでも土地だけで基礎控除に届くことはありません。吉岡の相続税を決めるのは、土地ではなく保険と退職金です。
住宅ローンは団信で消える。ただし債務控除はできない
住宅ローンを組むとき、ほとんどの方が団体信用生命保険に入っています。亡くなると保険金でローンが完済され、家は残ります。遺族にとっては何よりの保険です。
相続税の計算では、ここに一つ注意があります。団信で消えたローンは、債務控除できません。普通の借金なら相続財産から引けますが、団信のローンは「亡くなった時点で保険金で消えることが決まっている借金」ですので、引けないのです。一方で、家の土地と建物は、ローンがなくなった状態でそのまま財産として評価します。
「ローンが2,000万円あったから、その分は引けるはず」と考える方が多いのですが、引けません。建てて8年の家なら、建物の固定資産税評価額はまだ800万円前後残っていて、土地と合わせて1,300万円が財産に乗ります。
生命保険と死亡退職金には、それぞれ非課税枠がある
働き盛りの相続で財産の中心になるのは、生命保険金と死亡退職金です。どちらにも、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠があります。妻と子2人なら1,500万円ずつ、合わせて3,000万円までは相続税がかかりません。
・生命保険金5,000万円 − 非課税1,500万円 = 課税対象3,500万円
・死亡退職金1,500万円 − 非課税1,500万円 = 課税対象0円
非課税枠は保険と退職金で別々に使えます。退職金が非課税枠に収まっても、保険の枠が増えるわけではありません。また、受取人が相続人でない場合(たとえば親が受取人のまま)は非課税枠が使えませんので、受取人が誰になっているかを証券で確認します。
会社から出る弔慰金は、業務外の死亡なら月給の6か月分までは退職金と別枠で非課税です。会社からの支給が「退職金」なのか「弔慰金」なのかは、会社の規程と支給の通知で分けます。
試算:ローン2,000万円、保険5,000万円、子2人のうち1人が未成年
冒頭のご家庭で試算します。相続人は妻と子2人、下の子は15歳とします。
・自宅の土地(60坪):536万円
・建物(築8年):800万円
・住宅ローン:団信で完済、債務控除なし
・預金:500万円
・生命保険(非課税枠控除後):3,500万円
・死亡退職金(非課税枠控除後):0円
・合計:5,336万円
基礎控除は3,000万円に3人分1,800万円を足して4,800万円。合計5,336万円は536万円超えます。法定相続分で分けて税率10%を掛けると、相続税の総額は約54万円です。
ここから、妻の分は配偶者の税額軽減で全額ゼロになります。子の分は1人約13万円ずつ。15歳の子には未成年者控除があり、18歳になるまでの3年分、30万円を引けますので、この子の税額はゼロです。引ききれなかった控除は兄弟の分からも引けますので、上の子の13万円もほぼ消えます。
結果として、相続税はほとんどかかりません。保険が5,000万円入っても、この構成なら税額はゼロに近い。これが働き盛りの相続の典型です。逆に、保険が7,000万円、8,000万円と大きい家や、親から相続した預金が別にある家は、同じ構成でも税額が出てきます。保険証券を全部並べるところから始めます。
税額がゼロでも申告が要る。遺産分割には特別代理人
ただし、ここで終わりではありません。試算の家は、基礎控除を超えています。配偶者の税額軽減も未成年者控除も、申告をして初めて使える制度です。税額がゼロでも、申告書は10か月以内に出します。
もう一つ、未成年の相続人がいる場合の手続きです。遺産分割協議で、親である妻と未成年の子は利害が対立する立場になりますので、妻が子の代わりに署名することはできません。家庭裁判所に特別代理人を選んでもらい、その人が子の代わりに協議書に署名します。祖父母や叔父叔母など、利害のない親族を候補に立てるのが普通です。選任には1〜2か月かかりますので、申告期限から逆算して早めに申し立てます。
吉岡の方のご相談は、保険金が振り込まれて「このお金に税金がかかるのか」と不安になった時点で来ることが多いです。その時点で、非課税枠を引いて基礎控除と比べれば、申告の要否はすぐ分かります。基礎控除の考え方は相続税はいくらからかかるかに、生命保険の非課税枠はこちらに書いています。当事務所は高崎市江木町で、吉岡町役場から車で25分ほどです。
吉岡町の相続税のご相談
たかさき相続税・贈与税相談プラザでは、吉岡町の方の相続税申告を承っています。保険金や退職金が入って不安な方は、申告が必要かどうかの判定だけでもご相談ください。未成年の相続人がいる場合の特別代理人の申立てまで含めてご案内します。
たかさき相続税・贈与税相談プラザ
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公認会計士・税理士 長島祐太
















