甘楽郡の相続税|甘楽町・下仁田町・南牧村の山林と預金、申告先は富岡税務署【群馬・甘楽】

「南牧の山が2町歩あるんです。これ、相続税がすごいことになるんじゃないですか」

甘楽郡の方からのご相談で、山林の面積を心配される方は多いです。2町歩は約2万平方メートル。数字だけ見れば広大です。ただ、相続税の評価で見ると、この山林はたいてい100万円に届きません。

この記事では、甘楽町・下仁田町・南牧村で相続が起きたときに、土地がどう評価されるか、相続税がかかるのはどういう家か、誰も使わない山林をどうするか、申告先はどこか、を一通り書きます。

甘楽郡の相続税は、山林の広さでは決まらない

相続税がかかるかどうかは、財産の合計が基礎控除を超えるかで決まります。基礎控除は3,000万円に相続人1人あたり600万円を足した額で、子2人なら4,200万円です。

甘楽郡のご家庭の財産は、自宅と畑と山林、それに預金と保険、という構成が典型です。このうち土地は、面積の割に評価が小さくなります。山林は1平方メートルあたり数十円、畑は数百円、宅地でも1万円台から2万円台です。

つまり、甘楽郡で基礎控除を超えるのは、土地が多い家ではなく、預金と保険が多い家です。こんにゃくや下仁田ねぎで長く農業をされてきた方、富岡や高崎に勤めて退職金を受け取った方、親から受け継いだ預金をそのまま持っている方。こういうご家庭が、山林の話をしている間に預金で4,000万円を超えていることがあります。

甘楽町・下仁田町・南牧村の地価(2026年)

2026年の公示地価と2025年の基準地価から、3町村の数字を並べます。

・甘楽町:公示地価の平均2万266円(前年比マイナス0.86%)。最高は福島字中町の2万3,800円、最低は小幡字中佐久間の9,820円

・下仁田町:公示地価の平均1万8,050円(前年比マイナス2.70%)。住宅地1万7,200円、商業地1万8,900円

・南牧村:公示地価の地点がなく、基準地価で4,650円(前年比マイナス2.72%)

甘楽町は上信電鉄の上州福島駅周辺が最も高く、城下町の小幡は駅前の半分以下です。下仁田町は1995年のピーク6万5,666円から3.64分の1になりました。南牧村は1992年の1万9,450円から4.18分の1です。

3町村とも下落が続いています。相続税の評価という点では、これは税額が小さくなる方向です。親御さんの代の感覚で「土地があるから相続税が心配」と思っておられる方は、今の数字で考え直していただきたいです。

甘楽郡は倍率地域。固定資産税評価額に倍率を掛ける

相続税の土地の評価には路線価方式と倍率方式があります。甘楽郡は、ほぼ全域が倍率方式です。市街地の道路ごとに価格が付いている高崎や前橋と違い、固定資産税評価額に国税庁の倍率を掛けて評価します。

倍率は、国税庁の「財産評価基準書」の評価倍率表に、町村と字ごと、地目ごとに載っています。宅地なら1.1前後、畑や山林は地目や地域によって変わります。

計算は単純です。固定資産税評価額200万円の宅地で倍率が1.1なら、相続税の評価は220万円です。毎年4月ごろに役場から届く固定資産税の課税明細書に評価額が載っていますので、それに倍率を掛ければ、ご自身でもおおよその額が出せます。

山林は面積ではなく、評価額で見る

冒頭の2町歩の山林に戻ります。南牧村や下仁田町の山林は、固定資産税の評価額が1平方メートルあたり十数円という水準です。これに倍率を掛けても、数十円にしかなりません。

仮に1平方メートルあたり45円と置くと、2万平方メートルで90万円です。2町歩の山が90万円。これが相続税の世界の評価です。立木があれば別途評価しますが、杉や檜の人工林でも、手入れされていない山なら大きな額にはなりません。

注意していただきたいのは、課税明細書に載らない土地があることです。固定資産税が免税点未満の山林や、共有の土地は、明細書に出てこないことがあります。名寄帳を役場で取って、全部の土地を拾う必要があります。相続税の評価は小さくても、申告書には全部載せなければなりません。

試算:甘楽町の自宅と山林2町歩、預金3,500万円

甘楽町の自宅に、山林と畑、預金と保険がある家で試算します。相続人は子2人とします。数字はすべて仮置きです。

・自宅の宅地(固定資産税評価額200万円×倍率1.1):220万円

・建物:150万円

・山林2町歩(2万平方メートル×45円):90万円

・畑2,000平方メートル(×300円):60万円

・預金:3,500万円

・生命保険(非課税枠を超えた分):500万円

・合計:4,520万円

土地は全部足しても370万円で、全体の1割もありません。合計4,520万円は、基礎控除4,200万円を320万円超えます。相続税は2人合わせて約32万円です。

同居の子が自宅を相続すれば小規模宅地等の特例で宅地が80%減になりますが、220万円が44万円になるだけです。合計は4,344万円で、まだ144万円超えています。税額は約14万円に下がりますが、ゼロにはなりません。高崎の市街地なら特例ひとつで税額が消えることがありますが、甘楽郡ではそうならないのです。

逆に言えば、預金が2,800万円なら合計は3,820万円で基礎控除を下回り、申告は不要です。甘楽郡では、預金の額を正確に把握することが、申告の要否を判断するほぼ唯一の作業になります。基礎控除の考え方は相続税はいくらからかかるかに書いています。

誰も使わない山林は、国に引き取ってもらえるか

相続税の話が済むと、次に出るのが「この山、要らないんですが」です。

2023年4月から、相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。要件を満たせば、負担金を払って国に所有権を移せます。

ただし、ハードルはあります。建物がないこと、境界がはっきりしていること、担保に入っていないこと、崖や土壌汚染がないこと。山林で引っかかりやすいのは境界です。甘楽郡の山は、隣との境が「あの尾根まで」という口約束のままの土地が珍しくありません。

負担金は、原則20万円です。山林は面積に応じて増え、2万平方メートルの森林なら40万円台になります。申請の手数料も1筆あたり1万4,000円かかります。

安くはありませんが、持ち続ければ固定資産税と管理の手間が子や孫の代まで続きます。相続税の申告のついでに、どの土地を残し、どの土地を手放すかを整理しておくと、次の相続が楽になります。

なお、相続登記は2024年4月から義務になっています。それ以前の相続も対象で、経過措置の期限は2027年3月31日です。名義が祖父のままの山林がある方は、国庫帰属の前に、まず登記です。

申告先は富岡税務署

甘楽町・下仁田町・南牧村は、いずれも富岡税務署の管轄です。亡くなった方がこの3町村にお住まいだったなら、申告先は富岡税務署になります。

・富岡税務署:富岡市富岡2741番地の1

・電話:0274-63-2235(自動音声)

・管轄:富岡市、甘楽郡

相続人が高崎や東京に住んでいても変わりません。期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

高崎の当事務所にご相談いただく場合、申告書は電子申告で富岡税務署に出します。南牧村からですと高崎まで1時間ほどかかりますので、最初の面談以外はお電話と郵送で進めることもできます。山林の現地確認が必要なときは、こちらから伺います。ご自身で申告できるかどうかの目安はこちらに書きました。

甘楽郡の相続税のご相談

たかさき相続税・贈与税相談プラザでは、甘楽町・下仁田町・南牧村の方の相続税申告を承っています。山林が何筆あっても、評価の手間は変わりません。預金と保険の合計が4,000万円に近い方は、申告が必要かどうかの判定だけでもご相談ください。要らない山林の整理まで含めてご案内します。

・かんたん相続税診断(タップだけで概算がわかります)

・よくあるご質問(相続税の疑問を分野別にまとめています)

たかさき相続税・贈与税相談プラザ

TEL 027-335-9606(平日9:00〜17:30)

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公認会計士・税理士 長島祐太