相続税はいくらからかかるのか|『3,600万円』の本当の意味と、よくある勘違い【群馬・高崎】

「うちは相続税、かかりますか」。初回の無料相談で、一番多くいただく質問がこれです。お父様を亡くされたばかりの方も、まだお元気なうちに備えたい方も、聞きたいことは結局ここに行き着きます。答えの入口はひとつの数字です。3,600万円。ただ、この数字の意味を正確に知らないまま「うちは大丈夫」と判断して、あとで慌てるご家庭を、高崎で何度も見てきました。

今日はこの3,600万円が何なのか、そして実務でよく起きる勘違いを3つ、順番にお話しします。

基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

相続税には基礎控除という非課税枠があります。計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。遺産の合計がこの枠に収まれば、相続税はかからず、原則として申告も不要です。

法定相続人が1人なら3,600万円。冒頭の数字はこの最少ケースです。奥様とお子様2人が相続人なら3人ですから、3,000万円+600万円×3=4,800万円。ここまでは非課税、超えた部分にだけ税金の計算が始まります。

法定相続人の数え方にも実務上の論点があります。相続放棄をした人も基礎控除の計算上は人数に含めますし、養子は実子がいる場合1人まで(実子がいない場合は2人まで)しかカウントできません。「孫を養子にしたから枠が増えるはず」というご相談で、想定より枠が小さかったケースは珍しくありません。

相続税がかかるのは、いまや10人に1人

「相続税なんてお金持ちの話でしょう」とよく言われます。数字を見ると、そうでもありません。国税庁の公表では、令和6年分の相続税の課税割合は全国で10.4%。亡くなった方の約10人に1人の割合で、過去最高を更新しました。平成27年に基礎控除が現在の水準へ引き下げられて以降、この割合はじわじわ上がり続けています。

もうひとつ、見落とされがちなのが二次相続です。お父様が亡くなった一次相続では、お母様という相続人がいて基礎控除の枠も広く、配偶者の税額軽減も効きます。ところがお母様が亡くなる二次相続では、相続人が1人減って基礎控除が600万円縮み、配偶者の軽減もありません。一次のときは「かからなかった」ご家庭が、二次で初めて課税ラインを超える。高崎でのご相談でも、このパターンは本当に多いのです。

高崎で実感するのは、課税ラインの上に乗るのが「特別裕福な家」ではないことです。ご自宅の土地建物、預貯金、生命保険。この3点セットを足すと4,000万〜5,000万円台に届くご家庭は、市内にごく普通にあります。基礎控除ぎりぎりの層こそ、かかるのかかからないのかの見極めが一番難しく、一番相談の価値がある層だと私は思っています。

勘違い①:財産の数え方(生命保険・名義預金)

「預金と家だけ数えればいい」と思っている方が多いのですが、相続税の世界では足すものがもう少しあります。

まず生命保険金。受取人固有の財産なので遺産分割の対象にはなりませんが、税金の計算では「みなし相続財産」として合計に入ります。ただし「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が別にあり、相続人3人なら1,500万円までは足さなくて済みます。注意したいのは、この非課税枠が使えるのは受取人が相続人の場合だけということ。相続人でないお孫さんを受取人にしていると枠が使えず、税額が2割加算される場面もあります。保険の受取人指定は、思っている以上に税額を左右します。

次に名義預金。お子さんやお孫さん名義の通帳でも、実際にお金を出し、通帳と印鑑を管理していたのが亡くなった方なら、税務署はそれを亡くなった方の財産と見ます。税務調査で最も指摘されやすい項目のひとつで、「名義が違うから関係ない」は通用しません。生前に振り込んだつもりの贈与も、亡くなる前一定期間分は相続財産に足し戻されます。

勘違い②:土地は「買った値段」でも「売れる値段」でもない

土地の評価は、購入時の価格でも不動産屋さんの査定額でもなく、相続税独自のものさしで行います。市街地は路線価(道路ごとに国税庁が定める1㎡あたりの価格)、路線価のない地域は固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式です。

高崎はこの両方が混在する町です。高崎駅周辺は群馬県内で最も路線価の高いエリアである一方、少し郊外へ出れば倍率地域が広がります。同じ市内でも、駅近の狭い土地と郊外の広い土地とで、面積の印象と評価額が逆転することはよくあります。さらに土地の形が悪い、間口が狭い、貸している、農地であるといった事情ごとに補正があり、ここは評価する人間の腕で数字が変わる領域です。「固定資産税の通知書の金額をそのまま使っていいですか」と聞かれますが、答えはノーです。あれは別の税金のための評価額で、そのまま使うと過大にも過小にもなり得ます。

勘違い③:「基礎控除以下だから何もしなくていい」とは限らない

ここが一番お伝えしたい点です。「特例を使えば基礎控除以下になるから、うちは申告不要」。これは危険な誤解です。

ご自宅の土地を最大80%減額できる小規模宅地等の特例や、配偶者が相続する分を大きく非課税にする配偶者の税額軽減は、相続税の申告をして初めて使える制度です。特例を使った結果として税額がゼロになるご家庭でも、申告書の提出は必要です。逆に、特例を使う前の素の評価額で基礎控除に収まるなら、申告は要りません。この順番を取り違えて無申告のままにすると、後から特例が使えず、本来ゼロだったはずの税金に加算税・延滞税まで乗る最悪の展開になります。

「かかるか、かからないか」の質問の裏には、実は「申告が要るか、要らないか」というもうひとつの質問が隠れている。私が基礎控除ぎりぎりのご相談を軽く扱わない理由はここにあります。

まず今日できること:財産のざっくり棚卸し

正確な評価は専門家の仕事ですが、入口の見当は今日つけられます。

・預貯金:通帳の残高を全口座分足す

・不動産:毎年春に届く固定資産税の課税明細書の評価額を仮置きする(土地は目安として1.1倍程度で見ておくと大外れしにくい)

・生命保険:保険証券の死亡保険金額を確認し、「500万円×相続人の数」を引く

・株式・投資信託:証券会社の残高報告書の時価

この合計を基礎控除と見比べてください。明らかに下回るなら一安心。上回る、あるいは前後1,000万円圏内のグレーゾーンなら、一度専門家に見せる価値があります。グレーゾーンこそ、土地の評価と特例の使い方で結論が変わるからです。

当プラザの初回相談は無料です。通帳と固定資産税の明細書をお持ちいただければ、その場でおおまかな見当をお伝えできます。「まだ誰も亡くなっていないけれど、将来が不安」という生前のご相談も歓迎です。

相続税のご相談は、たかさき相続税・贈与税相談プラザへ

相続税がかかるかどうかの見極めから、申告・生前対策まで。群馬・高崎の相続税専門窓口として、公認会計士・税理士がお受けします。初回相談は無料、土日祝も事前予約制で対応しています。

電話:027-335-9606(受付:平日9:00〜17:30)

公認会計士・税理士 長島祐太